こんにちは!LegalOn Technologiesのソフトウェアエンジニア、渡辺です。
2024年2月15日から16日にかけて開催された"Developers Summit 2024"(以下、デブサミ)に参加し、「生成AIを搭載したプロダクト開発~少人数で爆速リリースしてわかったこと~」というテーマで発表しました。
今回は、発表までの過程、スケジュール、発表内容、そして発表後の感想について書かせていただきます。
登壇のきっかけ
登壇する約1か月前の2024年1月12日、デブサミ運営のご担当者様から弊社広報宛に1通のメールが届きました。そのメールは、私が以前寄稿した「ChatGPT APIをB2B SaaSで本番利用するために超えるべき4つのハードル」というCodeZineの記事を読んで、「2月に開催されるソフトウェアエンジニア向けカンファレンス、デブサミにご登壇いただけませんか」という内容でした。
広報からは「これまでないような貴重な機会なので、ぜひ登壇してほしい」との依頼があり、私はもちろんOKを出しました。デブサミはエンジニアの方なら一度は参加したことがある、または聞いたことがあるイベントだと思います。私自身も学生時代にデブサミを観覧に行ったことがあります。以前は参加者側だったのが、今回は登壇者として参加するという驚きと共に喜びを感じました。
スケジュール
お声がけいただいてから本番まで、約一ヶ月の準備期間がありました。私の講演時間は40分間。その時間内で収まる資料と内容を作る必要がありました。そこで、以下のスケジュールを立てて、社内の方と力を合わせ、本番に備えることにしました。
- 運営さんとすり合わせをし、ざっくりと話す内容やターゲット層を確定する
- サイトに載せるタイトルとタイトル概要を確定する
- 講演内容の骨子を作成する
- 資料を編集者と一緒に整える+同時進行でデザイナーにイラレで資料を整えてもらう
- 広報の check を完了させて資料を提出
- 当日の時間配分や話す内容のブラッシュアップ
- リハーサル
- 本番
発表内容と伝えたかったこと
発表のタイトルは「生成 AI を搭載したプロダクト開発 〜少人数で爆速リリースしてわかったこと〜」でした。
内容は当時の原体験を中心に、そのとき気をつけたこと、ぶつかった壁とその壁をどう乗り越えたか。また、今回の開発現場で得た知見や次なる技術革新に備えるために3つのメッセージをお伝えしました。
詳しくは以下のスライドをご確認ください。
私が特に伝えたかったメッセージは「当たり前なことを当たり前にやる」です。新しい技術が登場しても、それは課題解決や価値提供の方法が一つ増えただけで、基本的な行動は大きく変わらないということです。
当たり前だと思うことこそが重要で、ショートカットせずに丁寧に対応することで、最終的には早く、より良いものができるということを、今回のプロジェクトでも強く感じました。これはプロダクト開発の様々な場面で当てはまると思います。「設計しよう」「ドキュメントを書こう」「ユーザーに会おう」「テストを書こう」「実現可能性をチェックしよう」など、あなたが思い浮かべることがあるかもしれません。
また、常に技術の動向を把握し、いつでも技術革新が起こっても対応できる準備をしておく(= 良いポジショニングを取る)ことも重要だと感じました。私は幸運にもLLMやChatGPTが登場する前から関連する分野に興味を持っていたため、基本的な知識があったことで原理をすぐに理解することができました。全く知らない分野であれば、今回のようなスピードで開発を進めることはできなかったと思います。
そして、当たり前をアップデートすることも重要です。生成AIの登場により、これまで当たり前だと思っていた作業がさらに効率化されました。例えば、発表タイトルを考える際に生成AIを用いて複数の言い回しを作成したり、このブログ記事の体裁を整えたりすることも可能になりました。
当たり前を疑い、その当たり前を更新し、当たり前に当たり前なことをやる。つまり、学び続けて古い知識を更新し、自身を進化させ続けなければ、この技術革新が多い時代に適応することは難しいと思っています。今回のセッションではその学びを共有しました。
感想
イベントの雰囲気や登壇者のフォロー
今回はオフライン開催ということもあって、人気のセッションは立ち見が発生していたり、企業のブースも併設されていたりしたため常に賑わっている印象でした。登壇者も参加者も含めて熱量の高いイベントだと感じました。まさに、デベロッパーの祭典でした。
また、登壇者への配慮や対応も素晴らしかった印象です。前日のリハーサルでイベントのスタッフさんが扱う機材の確認やマイクの音量、スライドを画面に投影するタイミングや照明の明るさなど、丁寧に教えてくださりました。発表当日も余裕を持った誘導をしてくださり、バタバタすることなく安心して発表に集中できてとてもよかったです。
登壇を経験したことで得たものや自身の変化について
同様の内容で CodeZine に記事を掲載したときは「テキスト」として読者に伝えたいことを伝える必要がありました。しかし、今回はオフラインイベントであるとのことで、発表スライドは極力文字を少なめにしつつ、できるだけ「自分の言葉」に想いをのせて、来てくださった方に届ける気持ちで発表に臨みました。
「伝える」ということは伝わる先には必ず人がいます。その人がどういう人で、どのようなことに興味があって、どのような特性があるのかを知った上で発表したいと思い、前日に会場の視察をして、どのようなお客さんがいるかを把握しました。また、当日の発表でも私のセッションを見てくださる人がどのような人なのかを知るために、発表の冒頭でアイスブレイクとして3-4問ほど質問をしました。(40分も全く興味がない話をされても相手のためにはなりませんからね…。)セッションに来てくださった半数の方は現在もコードを書いている開発者で、PdM の方は2割ほどでした。そして、生成 AI を搭載したプロダクトをユーザーに提供している人は1割にも満たなかったです。
「生成 AI 特有の技術的な課題やユーザーに届ける上での障壁を知りたい方が多いだろう」「セッションのキーワードはプロダクト開発を選んだので、生成 AI に限らずプロダクト開発にまつわる気づきを得たい方もいるだろう」と考え、発表スライドはそのままで話す内容を当日アレンジして、できるだけ来た人全員が何か一つでも持ち帰っていただけるように配慮しました。
当日の客層や雰囲気を見て、特に「FAQ を作った話」は持って帰っていただきたいと思い、比重を重めにして話したところ、無事に刺さっていたのは嬉しかったです。また、発表会場を出る際に、一番後ろに座っていた男性の方が前にいる私のところまで来てくだって、「素晴らしい発表でした。感動しました。ありがとう!」と嬉しいお言葉をかけていただきました。そのあとの Ask the speaker でも「自分が大事にしていることを大事であるとあの場で言ってくれてすごく嬉しかった」と感謝の言葉をいただきました。そのような温かい言葉をいただけて、本当に発表して良かったなと思いました。また、今回の発表で「プロダクト開発において事前準備は重要」だとお伝えしましたが、これはイベント登壇にも当てはまることで何事にも準備は重要だなと改めて感じました。
今後のこと
弊社に入社する以前から、弊社のブランディングへの貢献に関心があり、入社以降も機会があればコミットしたいと考えていました。振り返ってみると人と機会に恵まれ、社内報や外部サイトへの記事の寄稿、そしてイベントの登壇も何度かすることができ、自身の成長につながるだけではなく、会社のブランディングや採用への貢献もできて良かったと考えています。ソフトウェアエンジニアとして、コードを書く以外にもブランディングへの貢献はできるので、これからも貢献できる場面で貢献していきたいと思っています。
そして、私以外にも弊社には魅力的な人材が多く在籍しており、バリューを出している方がいらっしゃいます。そのような方にもスポットライトが当たってほしいと私は考えています。より世の中へのインパクトの総量を増やすには、今回のように外部のイベントでエンジニアが登壇するまでの再現性が弊社には必要です。自分が当事者として得た経験を次に繋げ、今後も広報やブランディング、採用には積極的に協力していきたいと考えています。
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