はじめまして!LegalOn Technologies で CRE(Customer Reliability Engineer) をしている長内です。
今日は、2024年6月27日に開催した「EMギルド」についてレポートします。
LegalOn Technologiesの「ギルド」活動とは
LegalOn Technologies には「ギルド」と呼ばれる活動があります。ギルドは、組織を横断してワイワイガヤガヤしながら開催する勉強会を指します。
普段はSlackで情報交換をしつつ、不定期に集まり、勉強した内容の発表、登壇予定のプレゼンテーションの練習、一つのテーマに関するディスカッションなどを行っています。
開発部門が主催するギルドには、SREについて勉強を行う「SRE&プラットフォームギルド」、フロントエンドの勉強会「フロントエンドギルド」やバックエンドの勉強会「バックエンドギルド」などが存在します。
「EMギルド」もギルド活動の一部で、エンジニアリングマネジメントについて学ぶギルドです。CTOの深川がリードを取り、エンジニアリングマネージャー同士の交流と勉強を行っています。
会社の「中期計画」を学びなおす
これまでのEMギルドは自己分析やマネジメントなどについて共有・ディスカッションを行っていました。
今回のEMギルドはいつもと切り口を変え、経理財務グループの倉本を講師に招き、LegalOn Technologies が目指している企業目標とそれに関わる数字について講義してもらいました。
開発部門に所属していると、どうしても会社の売り上げや経理などの「数字」と関わる機会は限られます。
しかし、会社が目指す中期計画を理解し、その上で現在の数字がどうなっているかを理解すると、
- 会社は現在、計画に対してどの位置にいるのか
- 目標に対してどれぐらいのギャップがあるか
- ギャップを埋めるために、エンジニアリングにできることは何か
などが見えるようになります。そして、エンジニアをまとめる立場のエンジニアリングマネージャーが会社の目標について理解すると、チームメンバーのエンジニアに対する指示や目標がより具体的になり、説得力を持って依頼をすることができます。
今回のギルド会は、経理財務のリーダーを務める倉本に講師をお願いし、ファイナンス視点から様々な会社の数字について解説をしてもらいました。
企業価値の増加と重要な指標について
ここからは、講義に登場した企業とお金に関わる話、そして指標について説明していきます。最初は「企業価値」についてです。
企業価値とは「会社全体の価値」を表します。企業は事業活動を通じて利益を生み出し、その利益を新たな価値創出のために投資を行い、その過程で雇用を創出します。実際に企業が生み出した利益である「事業価値」と、優秀な人材・資材・土地など、新たな付加価値を生み出す資産を合わせたものが「企業価値」です。
企業価値を計測するために、SaaSビジネスでは「ARR」「MRR」「チャーン」という言葉がよく使われます。簡単に解説すると
- MRR
- Monthly Recurring Revenueの略。「月次経常収益」と呼ばれ、毎月継続的に得られる収益をさす。
- ARR
- Annual Recurring Revenueの略。「年間経常利益」毎年繰り返し得られる売上を指す。ARR=MRRx12ヶ月分となる。SaaSビジネスでは、契約者数が多ければ多いほど、ARRが増え、経営基盤が安定する
- チャーン
ARRやMRRが順調に成長していると、企業の経営方針・営業状況が良い状態であると見なすことができます。同時に、チャーンレートが低いと、現在のサービスに価値を見出していただいていると言い換えることができます。いずれも、SaaSビジネスを考える上で、欠かせない指標となります。
企業価値を向上させるためには、規模・成長性・収益性など、あらゆる面での指標が測定されるため、様々な側面で高い成長を実現することが求められます。アウトプットの質と量が上がることで、ユーザーは継続してサービスを使ってくれるようになります。つまり、チャーンレート(=解約率)が下がります。解約率が下がると、安定したMRRを獲得し続けることができ、結果として企業価値が上がっていきます。高い売上高の成長と高い利益率の両立という、非常に高い水準のアウトプットが求められると言って良いでしょう。
エンジニアのアウトプットが企業価値をあげることが出来れば、企業価値が上がる。企業価値が上がれば、調達できる金額も増える。その結果、良い人材や、潤沢な開発環境を入手できる、というのが理想的な状況となります。
ディスカッションタイム
会の最後には、CTO深川からの議題が出され、ディスカッションタイムに突入。
- 会社の目標と目指す姿を踏まえた上で、エンジニアリングマネージャーが自組織で果たすべき ”We think big. We aim high” (*1) な目標をできるだけ具体的に考えてみよう
- 目標を実現するための具体的なアクションを考えてみよう
というお題に全員で取り組みました。
各EMがそれぞれ Notion 上に目標とアクションを記述、その後EM同士で内容を開示し、感想を言い合う時間を作りました。
マネージャーが果たすべき役割と会社の数字・戦略について
マネージャーが行うべきことは「自チームのメンバーが最大限にパフォーマンスを発揮してもらう」ことで、「そのための環境を整え、目標に対して迷いなく業務に打ち込めるようにする」ことだと考えています。
EMに従事する方は、自分よりはるかに優れたスキルを持つメンバーのアウトプットをどのように最大化するか、悩んだことがあることと思います。自分もその一人です。
突然ですが、自分はサッカー日本代表を率いた岡田武史監督のマネジメント論が好きで、時々読み返しています。岡田監督は、南アフリカW杯大会に臨むとき、「ベスト4」という目標を提示することで、チームをまとめていったといいます(*2)。岡田監督は、自著やインタビュー、講演会などで、適切な目標設定の大事さを何度も繰り返し発信しています。自分がマネージャーとしてどう行動するべきか迷ったり、悩んだりしたときは、よく岡田監督のインタビューを読んで自分の思考を整理していました。
EMとしてチームをまとめていく上でも、目標設定はとても大事な意味を持ちます。では、その目標に説得力を持たせ、優れたメンバーをまとめていくためには、どうすれば良いか。そのためには、自分が所属する会社・組織の目標を理解し、その目標に対して自分のチームがどのように進んでくか、を考えるのがとても重要になります。大多数の会社や組織は、売上と利益の数字を創出することが目標になっています。ここで、EMが会社の数字・戦略を理解することに大きな意味が生まれます。
今回の講義を振りかえると
- 会社の中期目標・計画の解像度を上げること
- その中で、エンジニアリングチームがどのように目標を具体化し、企業の方向性にアラインしていくかを考えてみること
- その目標に向かうために、チームに対してどのような指示を出し、チームを巻き込んでいくかを考えること
などのように、「会社の目標・戦略を理解した上で、自チームのアウトプットをどのように最大化するかを考えるためのトレーニング」だった、と理解しました。
普段のギルド活動とはちょっと違った内容ですが、会社の赤裸々な数字の話も踏まえつつ、さらにEM陣からも赤裸々な質問がありつつ、なかなかに盛り上がったギルド活動となりました。
(*1 「We think big. We aim high」は、LegalOn Technologies が掲げる6つの行動規範の一つで、一見不可能と思える大きな目標を掲げ、そこから新しいアイデアや技術を試していくものです。)
(*2三井不動産株式会社「岡田武史さんが語った強いチームのつくり方、リーダーの覚悟」 https://and-biz.jp/column/takeshi-okada2017-01.html)
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